ベル小児科の院長日誌

前橋市の小児科診療所です。

最近話題のポリオワクチン

「先生,『不活化ポリオワクチン』ってどうなんですか?」

最近,時々質問があります。

現状行われている,定期接種の経口ポリオ生ワクチンは,弱毒化したポリオウイルスを経口接種することで,ポリオウイルスに対する免疫をつけようというものです。ただ,このワクチンが原因でポリオを発症,または接種を受けたお子さんの周囲でポリオ感染が発生したなどの理由で,不活化(生ワクチンではない)ワクチンの導入が検討されているのは,ご存知の方も多いと思います。
 
それで,初めに出て来た質問が,最近増えました。

「不活化ワクチンが出るまで,待ったほうが良いですかね?」
ベル小児科の回答。

「待たないで,生ワクチン,飲ませて下さい」

こう言う理由は3つ。

①現行の生ワクチンによるポリオ発症のリスクが,他の予防接種の副反応発生率とくらべて,抜きん出て高いというわけではない。
②日本周辺諸国でのポリオ発生の報告がいまだにあり,接種を後に延ばした場合に,感染のリスクがないとは言えない。
③不活化ワクチンが現場に出てくる時期が,まだ完全にははっきりしない(特に,ポリオ単独不活化ワクチンの導入はやや先になりそう)。

予防できるものは早めに対応して予防する。

これが重要なことなのだと思います。

・・・などと考えていた矢先に,神奈川県では,不活化ワクチンの導入が決まったそうです。

毎日新聞 2011年10月15日 東京朝刊:
http://mainichi.jp/select/science/news/20111015ddm012040028000c.html

これについては,現段階では評価が難しいところです。
でも,生ワクチンを避けて,ポリオワクチンの接種率が低下しているのは心配です。

ベル小児科の方針は,上に書いた通りですが,保護者の方のご参考までに,厚生労働省のHPをリンクしておきます。

特設ページ『ポリオワクチン』:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/index.html

副反応などについて,少しカタめのページ(ここの『第8』をご覧下さい):
http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/guideline/1.html#8