沖縄で、麻疹が流行しているのは、みなさんご存知の通りです。
5月9日に、2名のお子さんへの感染が確認されたようですが、
感染者増加のピークは過ぎ、終息に向かってはいるようです。
沖縄県では、感染者のリストを公開していますが(5月9日時点のもの:http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/kekkaku/documents/300509.pdf)、
これをみると、お子さんの感染者は、麻疹・風疹ワクチンを接種されていないか、接種歴が不明のかたが多いです。
接種されているのに感染してしまったお子さんは、施設内や病院内で、感染者と接触があったかたが多いです。
麻疹は、感染力が非常に強く、しかも飛沫だけではなく、空気感染(感染者から出たウイルスが空気中に浮遊し、同じ空間内にいる別な人に感染する)ので、麻疹の免疫のない集団に、1人麻疹の感染者が出たとすると、周囲の12〜14人に感染するといわれています(インフルエンザは飛沫(核)感染だけなので1〜2人です)。
ということは、反対のみかたをすれば、感染者と接近遭遇した人は、施設内や病院内で(発症した人より)たくさんいたはずなので、ワクチンを接種済みで、免疫が充分ある人は、感染を免れているということがわかります。
いかに予防接種が重要であるかがよくわかります。
そこで、最近、診療中にときどき質問を受けることとして、
「麻疹(または麻疹風疹)ワクチンを、1歳前のお子さんに接種できませんか?」
というのがあります。
沖縄県では、現在の流行をかんがみて、特例的に、期間限定で、生後6ヶ月からのお子さんに、接種を行なっているようですが、接種の安全性・有効性が評価されていないため、普通は接種しません。
当院でも、1歳前のお子さんへの、麻疹風疹ワクチンの接種は行なっていません。
流行地への訪問や、ターミナル都市の人混みなどをできるだけ避けるようにお願いしています。
次に、「麻疹の抗体があるかどうか、調べられませんか?」
という質問もあります。
これには、麻疹風疹ワクチンを2回接種済みであれば、抗体は充分あるものと判断してよいとお答えしています。
採血して調べることはできますが、当院は小児科なので、大人の方には、内科受診をおすすめしています。
また、こういった検査は、原則的に自費診療となります。
ともあれ、当院周辺ではもちろん、現在、麻疹の発生はありませんので、
大慌てする必要はありません。
なお、麻疹については、群馬県からも注意喚起が出ています。
http://www.pref.gunma.jp/02/p07110047.html