ベル小児科の院長日誌

前橋市の小児科診療所です。

アレルギー話(第7回)

しばらく(約3ヶ月)放っておいた,アレルギー話です。

外用についてクドクド書いていましたが,飲み薬についての補足を。

アトピー性皮膚炎でも,乾燥性の湿疹でも,乳児脂漏性湿疹でも,湿疹一般にいえることですが,ひっかいて(掻爬または掻破)しまうと,改善しません。

表皮が,皮膚の水分保持や感染防止のためのバリヤー機能を有しているということは,化粧品のコマーシャルなどでもよく言われていることですが,ひっかくと,そのバリヤーをこわしてしまうからです。

そういったことがありますので,外用といっしょに,「かゆみ止め」の飲み薬を,しばしば処方します。

月齢・年齢はもちろん,かゆみの強さや範囲によって,使う薬を選択します。

ヒスタミン薬や,抗アレルギー薬が選択肢になりますが,これがまた種類が豊富です。

「こんなになくても,いいんじゃないの?」

と,かつては思っていたのですが・・・

使っていると,結構,種類があっても良いことに気付きます。

お子さん(大人の方もそうですが)によって,同じ薬でも,かなり効果が違うのです。AちゃんはB薬でかゆみがおさまった,でもCちゃんはB薬では全然ひっかく様子が変わらず,D薬にしたらひっかかなくなった・・・ということが,ままあります。

ちなみに,これからシーズンを迎える花粉症もそうです。EさんはF薬でパタッと症状がよくなったけれども,Gさんは全く効かず。また,HさんはF薬で症状はおさまりましたが,眠くてしょうがない。こういったことがあるので,I薬,J薬・・・と変更してみるのです。

ただ,小さいお子さんには,それほど選択肢が多くないのが,実際のところです。数種類のなかから,量を微妙に調節して処方します。

要するに,似たような作用のお薬なのですが,ひとそれぞれ,効き具合が違う。だから,種類が多くないと,「ちょうど良く効く」のを探せないのです。

さて,ともあれ,ベル小児科の治療方針では,飲み薬は,お子さんの湿疹に対しては,あくまでもサブ的な使用です。

外用やスキンケアを充分に行ってもらって,その結果,湿疹が改善し,かゆみがおさまってきたら,早々に中止しています。

第8回につづく。