ベル小児科の院長日誌

前橋市の小児科診療所です。

アレルギー話(第6回)

ステロイドの入ったお薬です」

と言ったとき,保護者の方の反応は,大きく3つに分かれます。

1)「わかりました。塗ってみます」と受け入れて下さるケース。
2)「ステロイドですか。でもやむを得ないですね」または,
2’)「この程度でステロイドですか?!」というケース。
3)「ステロイドは使いたくないです」というケース。

2)のケースは,だいたい,以前にもステロイド外用薬を処方されたことがあり,使用したことがある方です。『使えば,きれいになる』ことがある程度わかっていらっしゃる。ステロイドの出番も承知されている場合が多い。

1)や3)の方には,説明が必要です。

1)の方の場合,「使ってみれば,湿疹は良くなりますが,良くなったら中止して,次の手段を相談に来て下さいね」と説明します。ずっと使い続けないようにするためにも,再診指示が必要です。その後のことまでは,細かく言いません。

3)の方の場合,無理には勧めません。他の治療法の選択になりますが,「ステロイドといっても,1年中,全身に塗るわけではないので,決して怖いものではないですよ。心配されている『副作用』は,まず『ない』です」と言い切ってしまうこともあります。とくに,湿疹が限局していて,少量短期で改善が見込める場合などは,そうです。

ともあれ僕としては,
うまい具合に利用すれば,ステロイド,なかでも外用薬は,怖くも何ともない,良い治療薬だと思っています。
しかし,抵抗がある方,特に,まだ小さい赤ちゃんに『ステロイドはちょっと・・・』という方にまで無理に勧めるものでもありません。

治療する側としても,『万能薬』的な発想ではなく,『必要なときに,必要なだけ使う』という基本を忘れないようにしています。

残念ながら,使ってみても,想像したような効果が得られない場合もあるのです。

ですので,『ステロイドは終着駅』ではなく,スキンケアや保湿,環境整備などと並ぶ,一つの選択肢と位置づけています。

第7回につづく。